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CASE 01 青山学院初等部

学習者用デジタル教科書が学びを変える
〜青山学院初等部〜
その1

青山学院初等部

青山学院初等部では、2020年度の2学期より3年生以上で児童1人1台のPC環境が整い、国語科の学習者用デジタル教科書+教材(以下「学習者用デジタル教科書」という)を活用しています。PCは学習のための道具と考える同校ではどのような授業が行われているのでしょうか。

1人1台のPCで変わる教室の姿

先生がPCの置き方を細かく指示するのではなく、各自が使いやすいように並べている

4年生の国語の時間、「ウナギのなぞを追って」の単元では、説明文の内容をとらえ、要約して紹介文を書く学習に取り組みます。ノートや筆記用具と共に机の上にはPCが並び、子どもたちは慣れた手つきで操作しています。

電子黒板への投影とともに黒板も活用しながら授業が進む

音読をするときは、紙の教科書で読んだりPC画面で読んだりさまざま。授業のステップや個人の好みに応じてデジタル教科書だけでなく紙の教科書も柔軟に併用しています。

説明文の要約にマイ黒板を活用

本文から必要なところを抜き出し、自在に移動することができる

要約のために本文から重要だと思う箇所を抜き出して整理をする作業が始まりました。ここで使用するのが学習者用デジタル教科書のマイ黒板。本文をなぞるだけで簡単に抜き出しができます。抜き出した部分はカードのように貼り付けられ、移動させたり消したり、また追加したりと自由自在です。重要だと思うポイントをどんどん選んで抜き出し、マイ黒板上で試行錯誤することができます。

デジタルならではの機能で抜き出す手順は簡単ですが、実際に作業を始めると「全部大切そう!」という声も。長い文章と向き合うとそんな気持ちになるのは紙の教科書でもデジタルでも同じです。4年桜組担任の小野裕司教諭は、段落全部ではなく一行だけを選ぶようにアドバイス。「最初は文章の一部を抜き出せなかった子も、数回の授業のうちに、一文だけ、ポイントとなる語句だけと、次第に要点をつかんで選べるように変化しました」と振り返ります。こうした成長が短期間で見られるのはデジタルならではの効果だといいます。

デジタルが思考を促す

子どもたちが作業している様子を見ると、抜き出す場所を変えて何度もやり直したり、繰り返し並べ替えたり、矢印や線で情報を書き加えたりしています。思考の過程が可視化されているかのようです。試行錯誤のしやすさが思考を促していて、手が止まる子どもはいません。

「いつ」「どんなことがあったか」を軸に抜き出すという先生からの指示をもとに作業しているシーン。同じアドバイスでも、子どもによってまとめ方には個性が出る

4年桃組担任の鈴木順子教諭も「要約の作業がまったく進まない子はいなくなりました」と変化を実感しています。書くことが苦手な子どもたちは、書き写すだけで時間を取られてしまいます。それが一瞬の作業で済むのでスムーズに思考に入れるというのです。

子どもたちからは学習者用デジタル教科書について、「きれいに消せる」「直しやすい」という感想が数多く上がり、「要約が嫌いだったけれど好きになった」という声も。失敗を気にせず気軽にやり直せることは、大きなプラスとなっているようです。

抜き出した上で、線で囲んだり書き込みをしたり整理している様子

作業中の画面を共有して例示

個別作業中も、先生は適宜何人かのマイ黒板を電子黒板に表示して皆が参考にしてほしいポイントをコメントします。それを見てすぐに自分のまとめに取り入れる子どもたちも。同校では授業支援システム* が整備されているため、先生の手元では全員の作業画面がリアルタイムで一覧できます。提出物が滞りがちな子の成果物もまんべんなく確認したり紹介したりできるようになったそうです。

先生は全員のPC画面を簡単に確認できる。児童の画面を提示して適宜コメント

子どもたちからは「みんなのノートを見られるところが良い」という声が複数あがっていて、互いのまとめ方を見ることが、参考や刺激になっていることがうかがえます。

デジタル×アナログを自然に組み合わせて

抜き出しと整理の作業が終わったらいよいよ紹介文を書きます。学習者用デジタル教科書を使ったからといってすべてをデジタルで作業するわけではなく、ここでノートと鉛筆の登場です。各自のPCを開き、保存されている要点整理メモを参照しながら文章を書き始めました。

自分のマイ黒板を確認しながら紹介文を書く。画面にチェックを入れながら文章を書いている様子も

鈴木教諭は、子どもたちが説明文の全体を網羅して紹介文を書けるようになったという印象を持っています。小野教諭も同様で、PCを忘れた子どもの文章には内容の捉え方に偏りが目立ち、マイ黒板を参照しながら書いた子どもとは紹介文の仕上がりに大きな差が出て驚いた経験があります。

個別作業の進行には個人差がありますが、授業時間の終わりには、マイ黒板のスクリーンショットや手書きノートの写真などを、授業支援システム* で先生に提出しました。進度を気にすることなくその時間の成果を提出する習慣になっている様子です。先生は自分のPCですぐに全員分を確認することができます。

提出のためにノートを撮影しているところ

自分のペースで視聴ができる

指導者用デジタル教科書を電子黒板に映して全員で見ているところ

デジタル教科書には、教材文の内容を補足する写真や映像資料が収録されているのも特長です。

電子黒板に映し全員で見るだけではなく、子どもたちは自分のPC画面でも見ることができます。

写真をじっくり見たり動画を止めたり戻したりしながら、自分のペースで見ている子どもたち。小野教諭は「前に投影して一緒に見るよりも身近に感じられるのかもしれませんね」と話します。

手元で動画や写真を見ることができ、より身近に感じられている様子
個別に動画を見ている時も授業支援システム* で先生は全員の進捗を確認できる。

*青山学院初等部が導入する授業支援システムは「xSync Classroom」(株式会社エルモ社)です。